株と会員権の違いとは?
ここに来て、日経平均株価やニューヨークダウの上昇が止まりません。今回は株価と会員権相場について分析してみたいと思います。株の売買をされる方はよくご存じかと思いますが、株式相場というのは世界的なもの。対してゴルフ会員権(相場)というのはドメスティック(日本国内独特のもの)なマーケットになります。
ここに来ての株価(日経平均)の上昇は半導体や人工知能関連の銘柄が物色され上昇しています。なぜ、これらの株価は騰がったのでしょう?これには諸説ありますが、おおまか以下のような経済・社会情勢によるものといわれています。
1)米国および日本の政策金利が低いこと
⇒米国ではFOMCが低金利のまま据え置かれ、金利値上観測が弱まったこと
2)米国(トランプ大統領)による関税(日本に対する)の問題が解決しつつあること
⇒特に半導体、自動車関連、機械部品 、製薬関連 等
3)日本においては石破総理の辞任が発表されたこと
⇒高市早苗氏が総理になった場合の経済対策効果に対する期待
4)企業業績が好調な銘柄(高配当株)の株に買いが集中したこと
⇒毎年8月は9月に向けた配当狙いの銘柄が買われる傾向があります
5)国際情勢が比較的安定していること
⇒この数か月間、戦争や紛争の話題が殆んど出ないこと
6)空売りが異常に増え、その買い戻しが入り踏み上げ相場になっていること
⇒これが一番の株価上昇の理由と分析するアナリストもいます
ただし、この1年間、飛ぶ鳥を落とす勢いで騰がっていたビットコイン銘柄(この1年で20倍になったメタプラネット、50円から9ヵ月間で1000円を突破した堀田丸正、やはり19~20円から340円になったエス・サイエンス、その他(マックハウス、京都きもの友禅、ANAP、コンヴァノ、gumi、イクヨ、アジャイルメディア、リミックスポイント等)は下落基調で推移しています。また、日経225銘柄の相場(株)は騰がっていますが、東証グロースやスタンダード市場の小型株はこの数週間で逆に下がっている銘柄も多く見受けられます。
株にあって会員権にないものは?
1)外人買い
外国の投資家が日本株を物色することを指します。特に機関投資家のことを指すケースが多いですが、これはゴルフ会員権市場(マーケット)には存在しません。日本では株取引は特定の富裕層のマネーゲームという印象が強いですが、米国では個人金融資産の半分以上を株式・投資信託などの「リスク資産」が占めており、日本と比べて投資への比率が高い傾向にあります。一方、日本では現金・預金が資産の過半数を占めることが多く、アメリカよりも投資に回される資産の割合が低いのが特徴です。
2)空売り
上記6)でも触れましたが、高い価格で株を売って(実際に株を売るのではなくそういうシステムが東証にあります)安くなった時に買い戻して利益を確定するもので空売りが多く入ると一旦は株価が下がりますが、その後の買い戻し(空売りの中でも一番多い制度信用は6ヵ月以内に買い戻す必要があります)によって踏み上げ相場が来て株価が暴騰することがあります。現在、日経平均株価はPER18倍(PERが18倍であるとは株価を1株あたりの当期純利益で割った値が18である状態を指します)と過去にない異常値になっており、空売りの買い戻しによる踏み上げ相場がボーナスステージとなって株価が上昇していると分析するアナリストもいます。したがって、このボーナスステージが終了すると株価が下落(下手すると暴落)する可能性があります。
3)機関投資家(ディーラー)というプロや仕手筋の存在
これらも会員権マーケットには存在しません。株と違って会員権マーケットは一般消費者(ゴルファー)と日本の会員権業者で成り立っています。又、日本の株取引に対しては政府が個人投資家を対象にNISA(少額投資非課税制度)という売買差益に対して税金のかからない制度を導入し、低所得層や女性(OLなど)を取り込もうとしています。話が個人投資家にそれましたが、株は投資金額が大きくなればなるほど機関投資家(ディーラーというプロ)との勝負になります。機関投資家は信用買いや空売りしている大口個人投資家を狙い撃ちしてきますが、ゴルフ会員権業者(会員権のプロ)は個人ゴルファーを攻撃するような事をしません。また、株価を意図的に上げたり下げたりする仕手筋(プロ)も会員権マーケットには存在しません。
4)信用売買(取引)
株の場合、手元資金の3∼4倍までレバレッジをかけて取引(信用売買)することが出来ます。怖い話ですが、FXになると20倍までレバレッジをかけれますので、株の場合にはまだ可愛いほうです。この信用売買もゴルフ会員権マーケットには存在しません。ゴルフ会員権を購入する資金は主に現金のみになります。一部、ゴルファーズローン等の利用もありますが、株のようにレバレッジをかけて会員権を買うことはしません。
5)利益の追求
これが株を売買することの最大の目的です。株は利益を産むことを究極の目的とし、すべての投資家【個人・法人(機関投資家)】が株の売買をおこないます。世界各地に株式市場があり、日本では9時00分~15時30分(11時30分∼12時30分は休場)に株の売買(取引)が行われます。又、夜間PTSという東証を通さず証券会社の中だけで現物株のみを売買する方法もあり、この夜間取引(PTS)は17時~23時59分まで売買(取引)され一部の銘柄では活況を呈しています(松井証券のみ午前2時迄)。他方、ゴルフ会員権の売買に関しては、この利益の追求という概念がありません。ゴルフ会員権はバブル期はともかく、平成の終わりから令和(現在)にかけては、あくまでもプレー本位で購入されています。
6)自社株買い
これは株主還元、株価対策の一環として企業が自社の発行した株式を市場から買い取る行為です。取締役会で決定された自社株買いの具体的な内容は自社株買いを実施する前に公開されます。主に決算短信や適時開示情報などを通じて投資家に向けてIR情報が発表されます。よって、一時的とはいえ自社株買いにより株価が上昇するケースがあります。ゴルフ場にも株主制のゴルフ場は名門コースを主体に多く存在しますが、相場対策として自社株買いをしているゴルフ場はないと思います。(筆者が知らないだけで一部あるかもしれませんが、、。)
7)ナンピン買い
株の場合には自分が買った相場よりも株価が下がった場合には安くなった時に買い増しすることで取得単価を下げる行為があり、これをナンピン『難平』と云います。一方、ゴルフ会員権では一人につき一名のみ登録可能なことから自分が買った時よりも会員権相場が下がった場合でも買い増し(ナンピン)する人はいません。ただ、『 株のみ』という会員権が存在することから、中にはナンピン買いしている人も稀に存在する可能性はあります。
8)配当
これも株のセールスポイントになります。高配当銘柄(高利回りの株)は『金利の低い銀行に預けておくよりもマシ』として配当目的で購入する富裕層の個人投資家も多く存在します。中には経営が赤字で配当が出せない企業(無配株)も多いですが、配当が無い(或いは低くても)、相場が上昇する銘柄は多く見受けられます。この配当という概念はゴルフ会員権にはありません。ゴルフ会員権の場合には株主制のゴルフ場でも配当を株主に払うことはなく、逆に年会費というランニングコストを会員から徴収します。
ゴルフ会員権にあって株にないものは?
次に会員権取引にあって株取引にないものを見てみます。
1)名義書換料
安いところで3万円、高いところですと1000万円の名義書換料(入会金)を徴収するゴルフ場もありますが、これらは株の世界にはありません。
2)年会費
これも株の世界にはありません。バブル経済崩壊以降、ゴルフ会員権を売却する理由で一番多いのは『使わない会員権に高い年会費を支払うのはバカらしいから』になっています。
3)ゴルフ2025年問題および2030年問題
高齢化によりゴルフをする人(ゴルフ人口)が減少することを意味します。これは株の世界(株式市場)では考えられない現象です。
今後の株と会員権の動向について
株式市場(マーケット)の動向
以上を総括すると株取引というのは世界共通で利益を追求する為に行われることから未来永久に無くならないと考えられます。昨日(令和7年9月19日)の午後には政府(日銀)が金融政策決定会合で、かつての大規模金融緩和策の一環で大量に買い入れてきたETF=上場投資信託とJ-REIT=不動産投資信託を売却する方針を決定しました。このうちETFは簿価で年間3300億円程度のペースで売却するとし、会合後の会見で植田日銀総裁は「市場に対するかく乱的な影響を極力回避するよう少しずつ処分を進めていくことが適切だ。単純に計算すれば100年以上かかることになる」と述べました。ETFの買い入れは中央銀行がリスクのある資産を購入し、金融市場に多額の資金を供給することでデフレからの脱却を目指した金融緩和策のひとつで2010年の開始から去年3月に終了するまでの日銀の買い入れ額は簿価でおおよそ37兆円、今年3月末時点では時価でおおよそ70兆円にのぼっています。そして、70兆円のうち33兆円は含み益(買った時と現在の株価との差益)だというのですから驚愕しました。日経平均株価は2008円のリーマンショック時、民主党の野田政権下で日経平均株価は6,994円まで下落しましたが、その後、第二次、安部政権下によるアベノミクス効果もあり、日経平均株価はバブル期の38,915円を突破したに止まらず、昨日(9月19日)は一時的とはいえ45,000円を記録していますので含み益33兆円は納得性があります。今騰がっているのは東証プライム上場の大型株(半導体の東京エレクトロン、レーザーテック、AI関連のソフトバンクグループ等)が全体を牽引しており、この先の判断が難しいですが、半導体株はピーク時に比べてまだ半値の為、この先もっと騰がるのでは?との見解を示すアナリストも存在します。米国の半導体銘柄に比べて日本のそれは割安とのこと。なお、株は分析要素が多い事に加え、思った通りにならないことも多く値動き活発で面白い為、Yahoo!ファイナンス掲示板では連日、株価の変動に一喜一憂する個人投資家で賑わっています。株は騰がるか下がるかの確率は50:50で丁半賭博のようなギャンブル性があることから世界各国で賑わいを見せています。
ゴルフ会員権市場(マーケット)の動向について
他方、ゴルフ会員権相場は東京、神奈川の名門コースや超名門コースは売りモノがなく、買いが多いことから相場が低迷した2018年∼2020年(新型コロナ禍)の頃から数倍(府中CCや八王子CCは5倍以上)になった銘柄はあるものの、大衆コースに関してはネットの普及によりメンバーにならなくても一人予約可能なことから、多くのゴルフ場ではビジターの一人予約システムを導入しています。また、会員権マーケットに買いの入らないコースも多く大衆コースや首都圏から遠方のゴルフ場の取引(売買)は依然として閑散としています。バブル期には関東600コースの平均相場は3500万円超を形成していましたが、現在は219万円前後と株式相場が高値を更新しているのとは対照的で株式相場のように活況を呈する状況になり難いことが想定されます。これに2025年問題や2030年問題(高齢化によりゴルフ人口が減る)がある為、拡大しつつある株式マーケットに対して会員権マーケットは縮小に向かうと考えるのが相当です。但し、会員権マーケットにはゴルフやゴルフ会員権に対する熱い情熱を持つ会員権業者の存在があります。我々会員権売買業者は今後も声を大にしてゴルフ会員権を保有(購入)するメリットを謳っていきますので『会員権マーケットは決して消滅しない!』と考えています。こちらは動画に上げていますので、ご興味のある方はクリックしてご覧いただければと思います。しかしながら株と違って、ゴルフ会員権を取り巻く環境は高齢化だけでなく、違った形態によるゴルフ場への新規参入があり、予約代行業者(GDO、楽天GORA、バリューゴルフ、ALBA Netなど)とは事業形態の異なるもので、将来的に会員権ビジネスが浸食されるリスクを孕んでいます。以下ではゴルフ会員権ビジネスの競合企業(直接競合・間接競合)についてご説明いたします。又、ゴルフ会員権は頻繁に売ったり買ったりするものではなく、売った人はそれでオシマイ、買った人も中にはグレードアップを求めて2つ目の会員権を購入する人がいますが、その数は極少であり、グレードアップの場合には上位の会員権を購入後には年会費負担の問題から、それまで保有していたゴルフ会員権を売却する人も多いことから大衆コースの会員権はどんどん売りが増える現象が見られます。
株価と会員権の連動性について
バブル期とその前後は株価と会員権相場は連動していた時期があります。しかし、昨今では株価の上昇や下落により会員権相場が受ける影響は少なく、株価と会員権相場の関係は希薄化しています。但し、東京をはじめとする名門コース(府中カントリークラブや八王子カントリークラブ、立川国際カントリー俱楽部、茨城ゴルフ俱楽部、その他)の会員権相場が急騰して高止まりしているのは、もしかすると株で儲けたあぶく銭(不労所得)で、『相場が騰がった名門ゴルフ場の会員を取得してメンバーになりたい』という現象の表れかもしれません。
最近、注目を集めているゴルフサブスクビジネス
昨今、高齢化による空き家問題や地価の高騰による駐車料金の値上げを背景に『空き家サブスクビジネス』への参入企業が多く、テレビでも取り上げられるようになり、昨日は『空き家サブスクビジネス特集』が放映されました。インターネット予約やスマホ、生成AIの進化に伴い、今後、流行るであろうサブスクビジネスにゴルフ場も乗り出し始めたことから、ここでは、ゴルフ場のサブスクビジネスについて少しだけ触れたいと思います。サブスクといってもピンと来ない方が多いかと思いますが、サブスクとは「サブスクリプション(subscription)」の略で、月額や年額などの定額料金を支払うことで、商品やサービスを一定期間利用できる仕組みを指します。音楽や動画の配信サービスだけでなく、書籍の読み放題、洋服や家具のレンタル、さらには車や食品まで幅広い分野で展開されており、利用期間中の利用権を購入するビジネスモデルです。
どのような企業がゴルフサブスク(ビジネス)に乗り出したのか?
昨今のゴルフ場サブスクビジネスはゴルフ会員権業者にとって市場の脅威になる可能性が高いと思います。日本で初めてゴルフサブスクリクションを展開したのはTeeRexゴルフ(株式会社オフィスワイズが運営)でしたが、昨年、NTTドコモがこの事業を買収し(これをM&Aでなくカーブアウトといいます)、現在はGOKL me!として積極果敢に運営・展開しています。同社のサービスの内容は、『月額8,778円(税込)~』全国のゴルフコース(50コース以上)がラウンドし放題になるというもので、ある意味、画期的で新たなゴルフ場ビジネスです。運営母体が『NTTドコモ』の為、社会的信用も高いことから会員数は順調に伸びている様子です。その他にもTRINITY GOLF(トリニティゴルフ)(こちらは個人事業としてスタート)も数年前に誕生し、昨今はYahoo!やGoogleにスポンサー広告を打ち積極果敢にマーケティング展開しています。このようにゴルフ会員権ビジネスを取り巻く環境は日新月歩で進歩や変化しており、東証プライム上場の大企業でもある楽天グループでは、名門コースとの提携『楽天スポニチツアーズゴルフ俱楽部』(入会金0、年会費26,400円)を展開し始めています。『GOLF me!』や『TRINITY GOLF』は主に首都圏から遠方の大衆ゴルフ場を対象にしていますが、楽天SGC『楽天スポニチツアーズゴルフ俱楽部』(略称)では名門ゴルフ場を対象としています。スポニチ(スポーツニッポン新聞社)を通せば、名門コースでプレーできるという噂話は昔からありましたが、それを楽天グループがビジネスモデル(楽天が得意とするポイントマーケティング)として確立したのです。その他では、差ほど普及はしていませんが、ダイナースクラブ(高級クレカ)の会員になるとで名門コースプレーすることも可能です。
首都圏の住宅(販売価格・家賃)が急騰!(会員権ビジネスの脅威)
株や会員権の話ではありませんが、地価の高騰を受け首都圏の住宅価格(販売価格や家賃)がここに来て急騰しています。住宅においては不動産経済研究所が令和7年7月17日発表した2025年1~6月の首都圏新築マンションの供給戸数は前年同期比11%減の8053戸と供給が減少し、需給逼迫から都心部の平均価格は1億円超えが続き、海外マネー(特に中国から)の資金流入も続いており、マイホームの購入を諦めた消費者の一部は賃貸住宅(マンション、一戸建て)への生活様式のシフトを余儀なくされています。ちなみに、2LDKのファミリー向けのマンションの家賃の月額は、東京23区24万円、神奈川21万円、埼玉19万円というデータもあり、消費者の家計を圧迫しています。そうなると消費者の生活が苦しくなることから余暇であるゴルフには、お金が回って来なくなる可能性があります。
今回は株とゴルフ会員権の違いや将来動向について論述させていただきました。乱筆乱文にて失礼いたします。
令和7年9月20日
株式会社TKゴルフサービス 小松高明





